ビジネスモデル2.0 図鑑


職場の上司から、「この本を参考にして、OO企画のビジネスモデルを作ってみてくれ」と渡された本です。

簡単に説明をしますと、100個の成功している事業のビジネスモデルが図解されている本です。

1事業につき見開き2ページで左側に図、右側に解説という感じで、本当に図鑑のようで楽しく読みすすめることができる本です。

私の上司としましては、この本に描かれている「もの」「人」「サービス」「関係者」「付加価値」などの関係図の描かれた方が気にいったようで、ビジネスモデルを図にしてくれ、ということだったようです。

つまり、私の上司は各事業の解説にて、左側の図(だけ)が気にいったようでした。
(おそらく、文章は読んでいないと思います)。

しかし、私の場合は、正直なところ図がわかりにくくて、文章だけを読んでしまう、ということになってしまいました。

実は、この点がこの本のすごいところでもあります。

世の中には図を読み解くのが得意な人と文章を読み解くことが得意な人がいるので、この本はその両者に対して、理解しやすい内容になっています。

この本にも書いてあるのですが、これまで、ビジネスの世界とクリエイティブな世界は分断されていたけれども、この二つの世界をつなぐ共通言語として、この本がある、ということのようです。

印象としては、私のような能力のないサラリーマンが企画書を創るのに役立つと思うのですが、新しいビジネスモデルを作成
これから就職しなければいけない大学生や高校生に、「今のお金を稼ぐ仕組み」ということを勉強してもらうのに最適だと思いました。

ぜひ、就職活動中の学生や就職活動を控えている学生に読んでいただきたいと思いました。

さて、中身です。

まず、最初に生き残るビジネスには、

1)逆説の構造

2)八方よし

3)儲けの仕組み

が必要とのことです。

1)については、今流行りのビジネスモデルが稼げている理由は、「逆説」を生かしているからである、という説明があります。

つまり「定説」を覆して「逆説」すなわち、発送の逆転・転換をさせることによって流行りが生まれる、と解説されていました。

そこで例に出されているのが「俺のフレンチ」だったり「Humanium」でした。

たとえば「俺のフレンチ」では、「フランス料理は高いお金を出して、ゆっくりと座って食べるもの」という定説を覆し、質の良い食材、一流のシェフを使いながらも、「立ち食いで、さっと食べて、回転率を高めて、安価な料金を設定する」という構造を作ったわけです。

また「Humanium」は、違法な銃を分解し、その金属を分解し、自転車や時計などに加工するという事業を行い、「違法な銃」は、「誰にも使われないように警察などが厳重に保管するもの」という定説を覆して、使えるものへと変換させるというビジネスモデルを作ったわけです。

次に「八方よし」に関しての説明です。

「八方よし」とは、近江商人の「三方よし」を拡張させたものです。

「三方よし」とは、「売り手よし、買い手良し、世間良し」というもので、売り手も儲かって、幸せ。買い手も良いものを買って幸せ。そして、社会全体も景気が良くなって幸せというものです。

これに対して「八方よし」とは、
・経営者よし
・社員とその家族よし
・取引先・債権者よし
・株主よし
・顧客よし
・地域よし
・社会(地球・環境など)よし
・国(政府・国際機関など)よし
とこれらすべてが幸せになれるようなビジネスモデルを目指さなければいけないというのようです。

3)の儲けの仕組みについては、詳しく説明されていませんでした。

このような説明があったのち、「モノ」「カネ」「情報」「ヒト」に分類されて、ビジネスモデルが図解されています。
具体的なに、この分類は、以下の基準に従っているようです。

モノ:新たなコアバリューを提供する

カネ:新たな「お金の流れ」をつくる

情報:新たな「テクノロジー」を使う

ヒト:新たな「ステークホルダー」を巻き込む

そして、それぞれの分類の最後に、以下のようにそれぞれの分類がさらに3つに分類されて、特徴が示されているので、どのような部分に気をつかってビジネスモデルを作りあげるのが良いかが、よくわかります。

モノ
・時空系:空間・時間をシェアして新たな価値を生んだ事例
・製品・サービス系:これまでにない価値や意味付けを生んだ事例
・流通系:モノが流れる経路や構造を変えた事例

カネ
・転換系:これまでカネにならなかった領域を転換した事例
・インセンティブ系:金銭的なインセンティブをうまく生んだ事例
・流通系:カネが流れる経路や構造を変えた事例

情報
・技術革新系:これまで技術的に難しかった領域に踏み込んだ事例
・データ活用系:ビッグデータなどデータをうまく活用した事例
・ネットワーク系:これまでアナログだったものを情報化した事例

ヒト
・リソース系:自社内外問わずリソースをうまく活用した事例
・社会課題系:社会課題解決のため新たな関係者を巻き込んだ事例
・マッチング系:ニーズに対して新たなマッチングを生んだ事例

ということで、さらりと読める割には、印象深いビジネスモデルが多いせいか、結構頭に残る内容となっていました。

難しい言葉もほとんど使われていないので、高校生、大学生に読んでいただいて、就職する前にビジネスの仕組みを理解していただけたらな、と感じました。

もちろん、ビジネスマンにもお勧めです。

企画書などを書く際に参考になると思います。