元気をくれる書物たち

父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話

  1. HOME >
  2. 元気をくれる書物たち >

父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話

先ほど、本屋さんに出かけたら、入り口に平積みで置いてありましたので、結構、話題になっている本なのでしょう。

著者はギリシアの経済危機時代に財務大臣を務め、現在はアテネ大学の経済学教授であるヤニス・バルファキス氏です。

そんな彼が、「経済学モデルが科学的になればなるほど、目の前にあるリアルな経済から離れていく」そんな状況のなかで、「専門家に経済をゆだねることは、自分にとって大切な判断をすべて他人にまかせてしまうことにほかならない」という問題意識からこの本を執筆したようです。

経済の仕組みなどについては、正直なところ他の書籍のほうがわかりやすいかな、という感じでした。

例えば、1999年に発行された中谷巌氏著の『痛快! 経済学』のほうが、日本人の学生や高校生にとってはわかりやすいのではないかな、と思いました。

おそらく、それは事例や例えが日本的だからかもしれません。

ただ、今回、非常に興味深かったのは、「ギリシア人がわかりやすく経済を語るとこうなるのか」という点で、ギリシア人の世界観、基礎知識というものを垣間見ることができました。

その中でも、私が一番興味深く読ませていただいたのは『オイエィプス王』の話でした。

みなさん、ご存知の通り、この物語はソポクレスの戯曲です。
物語の大筋は大体以下のようなものです。

・テーバイの王であったライオネスが自分の子供に殺されるとの予言を受け、生まれた子供(オイディプス)は山に捨てられる。

・羊飼いに拾われたオイディプスはコリントス王に引き取られる。

・コリントス王が自分の父親ではないと気がついたオイディプスは自分の本当の親について預言者に尋ねる。

・預言者は「お前は母親と結婚するだろう」と予言し、オイディプスはコリントスから離れる。

・その道中、道で出会った実の父親ライオネスをオイディプスは自分の父親と知ることなく殺してしまう。

・オイディプスはその後、王が不在となったテーベに到着し、王となり前王の妻(実の母親)を娶る。

・後日、真実を知ったオイディプスは自分の目を潰して、王位を退く。

この物語を著者はうまい具合に労働市場とマネーマーケットに当てはめて、解説をしているのです。

例えば、彼はライオネスもオイディプスも予言を聞いていなければ、何も行動を起こさずにオイディプスが父親を殺すこともなければ、母親と結婚することもなかっただろうというのです。

例えば、経済の見通し(予言)を知り、会社の経営者や政治家、人々は何らかの行動を取ります。

しかし、そのような行動が結局、悪い予言通りになってしまう、というのです。

具体的な事例については、本書を読んでいただけたらと思います。

その他にもイカロスの話を例えに、製造コストや自動化の話をしたりしています。

そうかと思えば、ギリシアの戯曲や神話だけではなく、アフリカやオーストラリアの先住民の話だったり、映画「マトリックス」を例に出したり、市場誕生の歴史、中央銀行の役割、通過と仮想通過と幅広い知識を基に経済の話を繰り広げています。

特に通過の話をする際に、捕虜収容所でのタバコの話などはなかなか面白いと思いました。

日本人の学生には若干、ピンとこない部分もあるかもしれないな、と思いつつ、世界レベルのブレインと話をする際には最低限、これくらいの知識は身につけておかなければいけないな、と思うような内容となっていました。

経済だけではなく、世界の常識、共通言語を知るための勉強にもなる一冊でした。

-元気をくれる書物たち
-, , , , , , , , , ,

Copyright© Y's Wise World , 2022 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。