元気をくれる書物たち

アメリカ黒人の歴史

2020-01-02

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アメリカ黒人の歴史

2020-01-02

以前から気になっていた本で、古本屋で買いためていた本です。
先日、ボブ・ウッドワード著の『司令官たち』という本を読み、コリン・パウエル氏の考え方が素晴らしかったので、ふとこの本のことを思い出し、読んでみました。

さて、この本ですが、アメリカの黒人の歴史を10個の時代区分に分け、その時代に生じたキーイベントについて解説しております。

目次が、アメリカ黒人の歴史区分そのものになっており、目次を眺めているだけでアフリカン・アメリカンの歴史の概要がわかります。

また、アメリカの歴史をアフリカン・アメリカンの人々から見たら、このような時代区分ができる、ということがわかります。

その時代区分(本書の目次)は次の通りです。

1)植民地時代の奴隷制度
2)独立革命
3)南部の綿花王国
4)奴隷廃止運動
5)南北戦争
6)南部の再建と黒人差別制度
7)近代黒人解放運動
8)公民権闘争の開幕
9)黒人革命
10)アメリカ黒人の現在

全体的に平易な文章で非常にわかりやすく書かれており、アメリカの歴史(特に国内の歴史)について知るにもオススメの本です。

また、黒人の歴史がアメリカの経済状況と密接に関わっているということもよくわかりました。

初版は1991年に書かれたものなので、私がアメリカに滞在していた当時までのアメリカ黒人の歴史ということで、勉強になりました。

(それ以降の歴史については、もうちょっと勉強しなければいけないように思いますが・・・)。

以下、私が個人的に特記しておいたほうがいいな、と思った箇所です。

・というのは、この国は、この革命をとおして、第一にイギリスの植民地支配から民族的独立と自己の市場とを獲得することによって、その後の国家的発展の基礎を築くことができ、第二に植民地内部の前近代的諸関係を大幅に廃棄し、国家と教会を分離して世界最初の成文憲法をもった近代的民主共和国をつくりあげることができ。第三に農民、都市の小市民や労働者など民衆の政治的、社会的諸権利を実現するための客観的諸条件をつくりだすことができたからである。

・独立革命は、このような先進的性格をもち、その成果も偉大だったが、この革命は原住インディアンと黒人には何ももたらさなかった。「自由と平等と幸福」は、かれらの前を素通りしてしまったばかりか、結果は、これまで以上の忍従と屈従をかれらに強いることになった。独立革命の最大の弱点がここにあったが、それは、この革命戦争が黒人奴隷も含んだ民衆の力を原動力として戦われたにもかかわらず、革命の指導権を握ったのが、北部の商業資本家と南部の大プランターだったという事情と結びついている。

・「奴隷所有者とは、同じ人間である者にたいして所有権を主張し、行使する者のことでる。・・・・・・黒人奴隷とは、いっさいの権利を剥奪され、獣の水準に引き下げられて、法律上は単なる動産にすぎず、人類の 同胞関係の圏外におかれ、人間族から切りはなされた人間存在である。かれら黒人奴隷には、これが自分のものだと言えるものは、なにひとつない。かれらは、他人の果実を取り入れるために骨折って働き、自分以外の人間が遊んで暮らせるように汗水を流すのだ。」逃亡して自由の身となり、やがて奴隷制廃止運動の最もすぐれた指導者の一人になったフレドリック・ダグラスは、かつての自分の奴隷生活を振り返って、こう述懐している。

・(奴隷制廃止運動は)本質的には中産階級的な急進主義に立脚していたとはいえ、この運動は黒人、農民、労働者、婦人、ならびに進歩的知識人の統一的な民主主義運動の中核であった。運動の内部における立場の相違や見解の多様性にもかかわらず、この運動は、いっそう広範な奴隷制反対勢力を結集していったところに、その大きな歴史的意義があった。

・それが「ドレッド・スコット判決」として知られる歴史的大事件のひとつになったのは、この事件が一人の奴隷と一人の奴隷所有者とのあいだの個人的な争いではなく、その背後にあったすべての奴隷とすべての奴隷所有者とのあいだの闘争ばかりか、全奴隷制反対勢力と全奴隷制擁護勢力とのあいだの社会対立ーーーーーー後者にたいする前者の広範な民主主義闘争を集中的に反映していたからである。

・(南北)戦争を通じて、約50万人すなわち当時の黒人奴隷の八分の一にものぼる多数の奴隷が逃亡したといわれる。こうして、かれらは、食糧生産をはじめ南部の生産力を減退させ、かれらを監視するために軍隊の一部をさかせることによって南軍の軍事力を削減させたばかりでなく、奴隷制寡頭権力を内部から大きな精神的動揺に巻き込んだ。しかし、なんといっても、黒人の役割が最も鮮やかに発揮されたのは、直接的な戦いの場である戦場においてであった。

・したがって、こんにちのアメリカ「黒人問題」の本質は、たんに人種や偏見の問題というより、それらを媒体としながら、貧困というかたちで端的にあらわれている特殊アメリカ的な体制の問題、そういう意味での階級の問題と考えるべきである。

・ブラック・パワーが登場し、黒人解放運動ばかりでなく、彼自身が自己の思想と行動において大きな転機にさしかかっていた頃、その後の運動の方向を真剣に探求していたキング牧師は、最後の著作となった『黒人の進む道』の中で、はっきりと次のように述べた。
 「《ブラック・パワー》というスローガンよりも、《貧しい人びとのためのパワー》というスローガンのほうが、いっそうはるかに適当であろう。・・・・・・要するに、黒人の問題は、アメリカ社会全体が、より大きな経済的正義に向かって新しい方向転換をしなければ、解決することはできないのだということである。」

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