財団法人日本船舶振興会(今の公益財団法人日本財団)を創設し、日本にボートレースを定着させ、稼いだお金で東京裁判の有罪となった方々の遺族や世界のハンセン病患者を救った笹川良一。
昭和51年生まれの私にとっては、「一日一善」のおじさんでした。
しかし、世代が若くともアフリカや途上国で研究している人々にとっては、知られている名前です。
なぜなら、アフリカや途上国では「Sasakawa」と名のつくプロジェクトが結構あり、またそれらの地域で活動する研究者や団体に対しても、奨学金を出しているからです。
なので、私も含めてそのような人々にとっては、「笹川良一が悪人である」というイメージはあまりないのではないでしょうか?
「一日一善」のコマーシャルを幼少時代に見て、しかもアフリカ研究をかじっていた私にとっては、笹川良一は「いい人」というイメージしかありません。
大学院で「笹川」の名前を耳にした時も「あx、あのボートレースの笹川さん」エチオピアで「Sasakawa」の名前を聞いた時も、「笹川さん、すごいな。エチオピアまでも」という印象でした。
ただ、一度だけ、小学生の時に「一日一善」のコマーシャルを見ていたら、父親が
「競艇のお金で金儲けしている最低なやつだ」
と言ったことを聞いたことがあります。
ですので、私の父親世代以上の方々には「笹川良一 = 悪人」というイメージが強いのかもしれません。
しかし、アフリカの子どもたちに囲まれている彼の姿は、私にとっては黒柳徹子さんとなんら変わりのない、という印象でした。
今回、私が、この本を手に取ったのは、「悪人、笹川良一と言われているが、本当にそうだったのだろうか?」という疑問ではなく、「笹川良一っていい人だと思うんだけど、なんで悪者呼ばわりされているんだろう?」という疑問からでした。
読んでみた感想は、
「この人は世渡りの天才なのでは?悪者呼ばわりされているのは、単に出る杭だったからでは?」
です。
以下、この本を読んでみて私なりにわかったことです。
・10代の頃から先物取引などで稼ぎまくり、お金は自由に使うことができた。
・自分や家族に対してはお風呂のお湯も自由に使えないくらいのケチ。
・身につけているものもとてつもなく質素。
・人に対してはお金をじゃんじゃん使う。
・例え、自分が騙されているとわかっていても、じゃんじゃん人のためにお金を使う。
・本当に困っている人に対しては、お金以上に自分自身が誠心誠意動く。
・女性に対しては目がなく、「上半身と下半身は別々の意識を持っている」ということを平気で言ってしまう。
・東京裁判で逮捕されている人、罪が確定した人々の家族をしっかりとサポートした。
・世界中のハンセン病患者を救おうとした。
などなどです。
つまり、この本を読んでも、私の笹川良一はいい人だ、という印象は変わりませんでした。
お金を持っていて、人のためにお金を使う人だから、悪人、善人問わず人が集まるし、事業をしようと思えば協力してくれる人がいる。
だからこそ、妬まれることも多く、悪人のレッテルを根拠もなく、イメージだけで貼られてしまったのでしょうね。
「え、そんなこと絶対ないって。やっぱりあの人悪い人だって」
と思われる方、この本を是非読んでみてください。