人生100年時代を生き抜く方法

2022-08-30

以前、山口周氏の『劣化するオッサン社会の処方箋』を紹介させていただきました。

今回は、その本の第8章に書かれていた人生100年時代を生き抜く方法を紹介させていただきます。

山口周氏といえば、電通、ブーズ・アレン・ハミルトン、ボストン・コンサルティング・グループ、A.T.カーニーに勤務した経験があり、その経験を活かして経営コンサルタントとして活躍されている方です。

若者を元気にする、若者の尻を叩くような、経営書、啓発書を多数執筆しています。

『劣化するオッサン社会』という言葉に惹かれて手にとってしまった本書でしたが、内容は期待以上でした。

今回は、私の胸に刺さった、第8章の内容を紹介させていただきます。

第8章のタイトルは「セカンドステージでの挑戦と失敗の重要性」というものでした。

人生100年時代のライフステージ

人生が100年となると、皆様はどのような印象を持たれますか?
長生きができて良いな、好きなことを満喫できる時代がやってくるなと思いますか?

山口氏は人生100年時代について、晩年の「人生の充実感の格差」が極端に拡大する時代に突入したと言います。
75歳以降、もしかしたら50歳以降の人生に大きな格差が生じる可能性を指摘しています。

山口氏はまず、人生100年時代のライフステージを以下の4つに分けています。

ファーストステージ:0~25歳 基礎学力を身につける時期
セカンドステージ:25歳~50歳 いろんなことにトライして経験を積むとともに、自分はなにが得意で、なにが不得意なのかを理解する時期
サードステージ:50歳~75歳 それまで培ってきたものから世の中に対して実りを返していく時期
フォースステージ:75歳~100歳 余生を過ごす

そして、人生の晩年、サードステージ以降の人生での実りの大小は、セカンドステージでの体験の質にかかっていると山口氏は述べます。

人生100年時代におけるセカンドステージの重要性

20歳〜50歳にあたるセカンドステージでは、「自分の技量とタスクの難易度は、ダイナミックな関係である」ということを念頭において、自分にどんどんストレスをかける必要があることを、山口氏は説いています。

山口氏の言葉を借りると「最初は強い不安ゾーンであっても、やり続けているうちにスキルが高まり、やがて『覚醒』を経て『フロー』のゾーンに入っていくということが起こる。フローのゾーンで同じ仕事をやり続けていれば、やがて習熟度が高まって、『コントロール』のゾーンに移行していくことになる。そうなると、コンフォートゾーンに入ってしまい、居心地の良い状況にはなりますが、当然ながらそれ以上の成長は望めません」というのです。

最初に頑張ってコムフォートゾーンに入ったのであれば、さらに新しいことにチャレンジをしてコンフォートゾーンに長居しないように心がけなければいけない、と言っているのです。

なぜなら、セカンドステージが人生において一番学びの密度が濃い時期であり、ここでチャレンジしなければ、人生の晩年にとっても苦労するというのです。

著者は以下のように述べます。

「セカンドステージにおける学びの量は失敗の回数にそのまま正相関するといってもよいくらいです。」(中略)「失敗のダメージが小さいセカンドステージでたくさんチャレンジし、自分なりの『失敗のマニュアル』を作ってしまうことで、サードステージにおいて大胆なチャレンジができる、つまり「自分はどこでもやっていける」という自信の形成につながるのです。」

人生100年時代で充実したセカンドステージを生きるためには

セカンドステージは生活環境が大きくかわる時期です。
責任ある仕事を任されたり、結婚したり、子どもを授かったりと、ふつうのビジネスマンにとっては、忙しくてしょうがない時期でもあります。
ここで、著者が推奨するのは、チャレンジすることを妨げている、何かを止めることです。

「セカンドステージにおけるチャレンジを阻害する最大の要因の一つが『逃げてはいけない』という信条です。その仕事をやり遂げることに拘ることで、かえって自分の居場所を見つけにくくなるという側面もあります。」

「いま、それなりに頑張っているけれども、どうもしっくりこない、なにか違う気がする、という思いが拭えない人は、一度じっくり、もしかしたらそれは頑張っているのではなくって、単に『逃げる勇気、負ける勇気』がないからなのではないか、と考えてみてはいかがでしょうか。」

また、「挫折して逃げるただし、タダでは逃げない。そこから盗めるものはできるだけ盗んで、次のフィールドで活かす。そしてフィールドを越境して移動していいるからこそ、知識や経験の多様性が増加し、これが、やがてユニークな知的成果の創出につながる」のです。

人生100年時代では不安定であることが安定である

私は、46歳でありながら、人生で一番長く在籍した組織は6年未満です。
「数年ごとに新しい仕事にチャレンジしていくような人生は、確かに『不安定』に見えるかも知れませんが、常に不安定であることは逆に安定していると考えることもできます」と山口氏は言います。
なぜなら、常に緊張感を保ちながら、新しいことにチャレンジしているからです。
新しいことにチャレンジし、「失敗を経験することで良質な結晶性知能が蓄積されれば、そのような知能や経験は、その人が世の中を生き抜いていく上で大きな武器になるでしょう。」

私たちが、これからの人生を生き抜いていくために必要なことは、学び直しです。

「なんらかの学び直しにより、自分自身の社会的な位置づけをパラダイムシフトするということも考えられ」「これからは学び直しが当たり前になる世界を生きることになる。今後は学ぶと働くがパラレルに働く人生モデルが主流になっていくでしょう」と山口氏はいうのです。