高山敦『前科者経営者』感想

2024-01-15

どん底シリーズの第4弾は『前科者経営者』です。
著者である、高山敦さんは、27歳で開発業社として起業をして、その後IT長者を夢見て、1億円の資金集めの際に、FXの営業活動に誘われ、逮捕されてしまいます。

5年の実刑判決を言い渡され、51歳で出所します。

獄中、反省する高山さんは、自分の罪をふりかえって、

「かつての私は、
『自分のため』と思って自分がとる行動が、結果的に『みんなのため』につながる——
それが、ビジネスでの、人生においても成功の秘訣だと、
わかっていながら、焦り、追い詰められて、
『自分のため』だけになっていました。」

と述べています。

人間の尊厳さえ揺るがされたと獄中の体験を語る著者は、獄中で「『みんなのため』になることに自分の能力を使う」ことを決心します。

そのような決心を、保護司の方に伝えると、保護司の方から「再犯ををなくすためにスクラップ事業者として社会起業したい」ということを伝えられます。

共感・賛同を得なければ誰も手伝ってくれない、と考えた著者は、大企業から10%だけ廃棄物を引き取り、大企業としては、社会貢献をしており社会的責任を果たしている、という意識を持つことができる、というアイディアを考え出します。

そのように企業から協力を得る過程で、著者は、以下のような気持ちを持って取り組んだと言います。

やりもしないうちから「どうせダメだ」って、
自分で勝手に決めちゃいけないのです。
「OK」と言うか、言わないかは、
相手が決めることであって、自分自身が判断することではないのです。
やってみないとわからないのです。

このように、受講者の社会復帰を目的とした会社を立ち上げ、現在は独立して元受刑者の就労支援や自身の体験をもとに講演活動を行う著者が、本書の中で繰り返し述べるのは、

自分を信じること

そして、将来、自分がなりたい姿を描き、どうしたらそのようになれるのか、計画を立てて、前に進むこと、と言っております。

51歳からのやり直し人生ではありますが、おそらく彼は事業計画書を書くことが上手だったのではないでしょうか。

事業と同じように、自分の人生の計画書を作成し、その通りに進んでいったら、こうなった、と言う非常に参考になる一冊でした。

本書のキーワードは、目標、自分を信じること、そして、計画でしょうか。

人生、どん底、と思っている方、人生あまりうまくいっていないな、と感じる方は是非、読んでみてください。