ちょっと気になる記事 論文代筆問題

2019-09-13

昨日、NYTimesを読んでいて見つけた記事です。

ヘッドラインは

An Industry of Ghostwriters Pens College Students’ Essays
(ゴーストライター産業が大学生の論文を執筆)

でした。

私も大学生のころは友人のレポートの代筆をよくしておりました。

多い時では1年に5本くらいでしょうか。

私の場合は1本ごとにお昼ご飯を奢ってもらう程度でしたけど・・・。

そんな話しはさておき、記事の内容にはちょっと驚かされました。

アメリカの大学に在籍する学生の論文やレポートをケニアに在住しているケニア人の学生が代筆しているという内容でした。

記事によると、以前からこのような大学生の不正行為はあったが、インターネットの普及によってグローバル化している、というのです。

記事は2名のケニア人にインタビューをしているのですが、1人は4年生大学に在籍中の学生、もう1人は4年生大学で都市工学の学士を取得したという高学歴の方でした。
ただ、2人とも、お金に困っている、という状況にあるようです。

確かにアフリカ諸国では、高学歴で大学を卒業したとしても仕事がない、という状況がずっと続いており、インタビューをうけた2名のケニア人も、悪いこととは判っているけど、お金が必要だから、と話しているわけです。

特に既に卒業している方に関しては、最初は副業で代筆をしていたものの、徐々に本業となり、論文代筆の仕事のおかげで、車や家を保有するほど稼ぐことができたというのです。

つまりは、需要と供給がうまく合致してしまっているわけです。

記事によると、英国や豪州では代筆によって執筆された論文を盗作論文として扱い、見つかった場合には、厳しい処分を学生に課しているようです。
しかし、米国はまったく対応していないとのことです。

それでは、日本はどうでしょうか?

まったく対応しておりません。
それ以前に、盗作についても日本の対応は相当甘い対応です。

そして、ネットで「論文代行」と検索してみると、たくさんのサイトが出てきます。

ということは、日本でも相当需要があり、このような論文代筆業者を利用している研究者や学生がいる、ということになります。

私が大学院にいた頃も、一人の院生が論文執筆カウンセラーと名乗る男性に論文指導を受けておりました。

彼の場合は相当まじめに「論文指導」をしてくれていたので、よかったのですが、結局は院生の指導教員が展開したい論とは全然違ったので、その院生は最終的にはカウンセラーを断るしかなく、もちろん支払ったお金も戻ってきませでした。

私のような研究者崩れが何か起業をしようと思ったら、確かにそういう分野で生き残れるのかもしれません。

大学院生時代に本屋でバイトしていた時に、お客さんとしてやってくる学生から

「こういうテーマのレポートを書かなければいけないのですが、何か適切な本はありますか?」

という質問をしょっちゅう受けていました。

私も、相当真剣に対応してあげましたけど。

ということで、世界各国でこのような論文執筆代行だったり、アドバイスのような需要はあるのでしょう。

特に指導教員と馬が合わず、見捨てられてしまった場合、学生は第三者にアドバイスを求めるしかないのでしょうね。

とはいうもののこれは大きな問題だと思います。

おそらく、現役の大学の先生方もこのような業界にお世話になっているのだと思います。

しかも日本ではノーチェックです。

全てがそうだとは思いますが、結局のところ、大学のような場所でもお金を持っている人が、どんどん業績を残して成功していく、という構造になっているのでしょう。

つまりは、学歴、成績、学位はお金さえあればなんとかなるという状況があるということなのでしょうね。