元気をくれる書物たち

山口周『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト』

2020-06-23

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山口周『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト』

2020-06-23

山口周さんの著書です。

山口周さんを一言で「このような人です」というのは難しいのですが、「ナレッジキュレーター」と本人はいうことが多いようです。

「ナレッジキュレーター」と言われると、根治的にはピンとくるようなピンと来ないような、そんな感じです。

美術館のキュレーターが美術作品の鑑定や研究を行い、どのような美術作品を集めるべきか、公にどのように提示するべきか、などを考える人、とすると「ナレッジキュレーター」は知識について鑑定や研究をして、現代に必要な知識を選び、いかに公に伝えていくべきかを考えろ人、とでも言ったら良いでしょうか。

さて、この本はまさしく「ナレッジ・キュレーター」のお仕事らしい著作だったと思います。

プロローグにも書いてあるとおり、この本は単純に過去の哲学や考え方を紹介する本ではなく、現代に必要となる、現代社会にも通じる過去の「知」を紹介したものとなっているようです。

そのため、著者曰く、この本には哲学の王道と言えるような方のアイディアが紹介されていなかったり、「哲学」の分野で活動していなかった方々も紹介されているとのことです。

私は1995年に大学に入学しているわけですが、当時、「なぜ、今、哲学を学ぶ必要があるのだろうか?大学で哲学を専攻する人って、将来、何を目指しているんだろう?哲学って現代社会とは切り離された、昔の理論なんではないか?」などと考えておりました。

しかし、この本を読むと哲学がまだまだ、現代社会にも息づいている、過去の知を学ぶことは、現代社会を生き抜くためにも重要である、ということがわかります。

この本を読み終えると、いかに自分が教養を学ぶことを怠ってきたか、反省させられ、自宅にある世界名作文学を読みあさりたくなります。

心に響いた箇所はたくさんあったので、今後、個別に紹介をしていきたいと思いますが、今回はプロローグに書いてある、哲学を学ぶ意味について、抜粋したいと思います。

・哲学を学ぶと「役に立つ」とか「カッコいい」とか「賢くなる」ということではない、哲学を学ばずに社会的な立場だけを得た人、そのような人は「文明にとっての脅威」、つまり「危険な存在」になってしまう。

・哲学・思想を学ぶメリット
1)状況を正確に洞察する
哲学を学ぶことの最大の効用は、「いま、目の前で何が起きているのか」を深く洞察するためのヒントを数多く手に入れることができるということ。

2)批判的思考のツボを学ぶ
これまで通用した「考え方」を、一旦批判的に見直してみる。そして、それが現実にうまく適応できていない、現実をうまく説明できていないのだとすると、その理由を考察して、新しいパラダイムを提案する、ということが求められる。これはまさに、哲学者が連綿とやってきたこと。

3)アジェンダを定める
全てのイノベーションは、社会が抱えている「大きな課題」の解決によって実現されていますから、「課題設定」のないところからイノベーションは生まれません。

4)二度と悲劇を起こさないために
悲劇は、ほかでもない私たちのような、ごく「普通の人々」の愚かさによって招かれているのだということを、決して忘れてはなりません。

・世界史的な悲劇の主人公はヒトラーでもポル・ポトでもない、そのようなリーダーに付き従っていくことを選んだ、ごくごく「普通の人々」なのです。そのような人々によってこそ、巨大な悪がなされているのだとすれば、過去の哲学者たちが、人類が払った高い授業料の対価として書き残してきたテキストを、私たちのような「普通の人」が学ぶことには、大きな意味があるのだということはわかってもらえるのではないかと思います。

と、山口さんは以上のように私たちが、今、哲学を学ぶ意味を説明しています。

正直、プロローグを読んだだけでは、「ふーん」としか思わないのですが、本文を読み進めていくと、この考え方は今の、この問題につながるんだ、とか、この考え方に基づいて今の社会を見ると、今起こっている現象はこういうことなのか、と納得させられる内容となっています。

素晴らしい本でした。

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