片桐はいり『グアテマラの弟』感想
自分の書く文章がどうにもこうにも固くて、面白みがないな、と感じたので、勉強のためにいくつかエッセイを古本屋で購入してきました。
その中の一冊が女優、片桐はいりさんが書かれた『グアテマラの弟』でした。
本当は、『わたしのマトカ』を読みたかったもののその古書店には、この一冊しかなかったので、こちらを購入。
しかしながら、とっても面白い。
この本を読んでみて感じたのは「片桐はいり、ただ者じゃない」でした。
何が、すごいのかというと発想でしょうか。
『グアテマラの弟』というタイトルなので、一体どんなエッセイなんだろうと思いきや「歯ブラシの替え時」の話からはじまるのである。
歯ブラシを新調するタイミングを異国に住む弟からの連絡があったとき、と決め、歯ブラシが痛んできたら「弟から連絡ないかな」と弟を思うのでちょうどいい、という話なのである。
それだけでこの話は終わらず、近年、e-mailの発達により毎日弟からe-mailが届くようになり、いつ歯ブラシを替えたらいいのか、余計に分からなくなった、というオチまでついている。
まるで落語のような話である。
このような話がこの本一冊を通じて書かれているので、面白い。
そして、「まるでなになにのようだ」という例えがまた、凡人には発想できないようなものでそれがさりげなく文中に散りばめられている。
エッセイとは、なんとなく簡単に、日記のように今日あったことについて思ったこと、感じたことを書けばいいんだろうなと思っていたものの、とっても奥が深いということに気がつかされた一冊でした。
発想力を高めるのにも、文章力を高めるのにも大変参考になるオススメの一冊です。
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