断捨離する前に考えて欲しいこと

最近、後悔していることがあります。

それは、私が持っていた大量の本、DVDや楽器などを断捨離して処分してしまったことです。

家が小さいのでモノを処分することは仕方がなかったのかな、とは思いますがやっぱりそこには後悔が残ります。

断捨離をする時によく「一年間、さわらなかったものは必要ない可能性が高いので、思い切って捨てましょう」などと言われます。

しかし、もうちょっと考えてみてください。

なぜなら、私の後悔は、自分のモノを捨ててしまったという後悔ではなく、

子供が興味を引くようなモノを捨ててしまったのかもしれない、
子供の成長を阻害するような行為をしてしまったのかもしれない、
自分の都合、親の都合だけでモノを捨ててしまったのかもしれない、

そんな、後悔です。

カリスマ家庭教師と呼ばれる西村則康さんという方がいらっしゃいます。
彼は、家に入った瞬間、その家の子供の成績が伸びやすいかどうかがわかるといいます。

彼は、親の趣味のグッズや本を子供がすぐ手に取れるような場所に置くと子供の世界が広がり、成績も伸びやすい、と言っています。

そして、そのような環境が整っている家の子供の成績は伸びやすいそうです。

確かに、これは私の経験からしてもそうかもしれないな、と思っています。

パートナーの家に引っ越して、申し訳ないとは思いながらも大きな本だなを置かせてもらい、そこに図鑑や世界の名作文学集や私の大好きな本を並べておりました。

また、すぐ手の届くところにDVDなども置いておきました。

ギターなども出しなっぱなしにしておきました。

パートナーのお子さんの世界観が広がれば、もっといろんなことに興味を持ってもらえば、と思っていたからです。

ある日、パートナーの小学5年生の少年が「このあいだ、内緒でDVD見ちゃった」と言いました。

「何見たの?」と聞いたら、「大脱走」というではありませんか!!

これは、私の父親と母親が結婚する前にデートで見た映画だそうで、1963年に公開された名作中の名作です。

そして、その後、小学5年生の少年は「結局、逃げ切ったのは何人だっけ?」といい、「船で逃げた人でしょ。自転車で逃げた人もいたでしょ。バイクで逃げた人は捕まっちゃたし・・・。でも、殺されちゃった人もいたよね?なんで?」という話になり、そこから「昔、第二次世界大戦っていう戦争があって、あの映画はドイツ軍に捕まってしまったアメリカ人兵士の話なんだよね。・・・」という話にまで発展しました。

おそらく、この映画から彼は第二次世界大戦や歴史に興味を持ってくれたことでしょう。

授業でも第二次世界大戦の話になったら「捕虜になった人たちは殺されっちゃったんでしょ?」という質問などをしてくれることでしょう。

また、本棚にあった図鑑に関しても、私たちが知らないところで読み込んでいるらしく「OOという魚は毒を持っているから気をつけないとダメだよ。でもあの魚はこのへんにいるのかな?」という新たな疑問も生み出していました。

しかし、やはり家が狭いこともあり、ギターを出しなっぱなしにしていたらパートナーには「邪魔だからしまって」本に関しては「捨てる必要はないけど、段ボールに入れてしまっておいたら」などと言われ、私としては「視界から消える=捨てると同じ」という感覚があったので、結局はギターをはじめ、その他の楽器、図鑑、子供の頃に読んだ大好きな本、先ほどのDVDなども処分してしまいました。

さて、今日、その小学5年生の少年と一緒に家で過ごしておりました。
彼は私のタブレットでテレビを見たあと「あー、つまらない。やることない」と言って、わめきだし、タブレットでもっとテレビを見たいと言い出しました。

しかし、私は私で仕事をせねばならず、タブレットを使わなければいけなかったので、我慢してもらいました。
彼は仕方なく、つまらなさそうにゲームをやっていました。

実は、こういう時間は小学生にはたくさんあるかと思います。

私も昔「何もやることがない、つまらない」と思ったことがありました。

そんな時に、ふと本棚にある本を手にとって読み始めると、実はとっても面白く、夢中で読んでしまったということがありました。

それが、私にとっては「ああ、無情」だったり「ありがとうチモシー」だったり、「モモ」でした。

もともと、読み物は好きでしたが「名作は面白い」と実感した瞬間でした。

子供がつまらなさそうにしている時、暇そうにしている時にギターがすぐ手に届く場所にあればな、図鑑があればな、私が子供の頃に大好きだった本があればなと後悔しました。

子供がゲームしかやらない、テレビしか見ない、というのは、子供が悪いのではなく、実はそれ以外に子供が興味を抱くものが家にないからなのかもしれません。

そういえば、私は暇の時に本を読む以外にも、一人オセロをやったり、一人将棋をやったり、家にあるボードゲームに一人ルールを作って、新しい遊び方を作り出したりしていました。

同居している小学5年生は料理が好きです。

しかし、今日の様子を見ていると、彼は料理が好きなのではなく、家の中で唯一興味を持てるものが「料理しかなかった」からなのでしょう。

後悔をしても仕方がないので、もっとたくさん稼いで、大きな家に住み、処分したものをもう一度買い直そうかとも思うのですが、今が小学5年生の彼にとっては、ちょっと手遅れになってしまうのかもしれません。

断捨離する時には、そのモノが家にあることによって、家にいる人それぞれが受ける影響について、もう少し考えてみてもいいかもしれません。

最後に、ちょっと調べてみ見ましたが、家の中にものが少なく、キレイさっぱりな家は子供の語彙力育成には、最悪な環境だそうです。