あえて、レールから外れる。逆転の仕事論
堀江貴文氏の著作というか企画の本です。
堀江貴文氏が認める8人の成功者が、現在に至るまでの自分の人生体験を語るというもの。
「成功に至るまで」と私が書かなかったのは、彼らがみんな自分が「成功している」という意識を持っていないからです。
この本で人生を語っている8名は以下の方々です。
1)書道家 武田双雲
2)編集者 佐渡島庸平 「バガボンド」「宇宙兄弟」「ドラゴン桜」などの編集に携わる
3)芸術家(?)増田セバスチャン Kawaii文化のパイオニア。きゃりーぱみゅぱみゅのMVの美術などを手がける。
4)芸人 田村淳 ロンドンブーツ1号2号
5)ユーチューバー HIKAKIN
6)飲食店プロヂューサー 小田吉男
7)元俳優 イベントプロデューサー、映画監督 小橋賢児
8)岡田斗司夫 元ゲーム会社社長、作家、評論家
面白いな、と思ったのは以上の方々が結構な割合で、人生で一度は引きこもったり、人生に対して希望を失ったことがある、ということでした。
やはり、何かを成し遂げる人は、決してするするーっとなんの失敗もなく、成功の階段を登っていったのではなく、右往左往があったということでしょう。
以下、気になった部分です。
堀江貴文より
・イノベーターは、楽しい瞬間がまるごと仕事になっているのだ。
・イノベーターは興味のままに最新の情報に触れ、失敗を恐れず、数々のプロジェクトを仕掛けている。それぞれがシナジーを起こし、思わぬプロダクトを生む。
・これからは決められたレールの上を歩き、一つの職種にこだわることで、素晴らしい可能性を見落としてしまうリスクの方が大きいだろう。
・目線からの逆算はせず、今だけに集中する。
・常識にとらわれず、まっさらな目で見る。
・遊びと仕事の境目をなくす。
・皮膚感覚で違和感を感じる仕事は捨てる。
・失敗を恐れず、ひとつの場所に固執しない。
・豊かな日本で豊かな生活をするという「成功モデル」は、もはや溶けてきている。
・断っておくが、私は「引き受ける」ことを全否定してはいない。先に述べたように私も、本書に登場するイノベーターたちも最初は、「引き受ける」仕事を地道に積み重ねてきた。ときには一介のサラリーマンとして葛藤したり、思い通りにいかず引きこもりを経験したり。決められたレールを歩き様々な困難を経たうえで「仕事を作る」スタイルを確立した。
・イノベーターとは、時流に乗った、ラッキーな成功者ではない。一足飛びの賭けに乗じず、足下を固め、段取りをしっかり踏みながら、レールから最大限のジャンプを成し遂げた。良質な情報を浴び、努力(とも思っていないだろうが)を重ね、いまも成長している。
武田双雲
・高校の時、母親に「将来なりたいものは?」と聞かれたら「大物」と答えたらしいです。
・数字の達成は本来、楽しむ手段であるべきでしょう。それが目的になると苦しさが伴いがちです
・妙な言い方かもしれませんが、多くの人は「未来」に希望を抱きすぎです。大事なのは「いま」です。「未来」よりも優位なのは、この瞬間
・喜びとか感動をシェアするだけでは、もの足りません。
なだらかに生きてきた人の、人生の根本を、ひっくり返してみたい。
その人が、人生を変えてしまうほどの感動を求めています。
・サラリーマンが会社の成績に一喜一憂するのも、いかがでしょう。
・仕事にかまけて家庭を犠牲にしたりとか、イライラして周りに不機嫌をまき散らすのとか、意味が分かりません。そんなにまでして得られるハッピーが、本当のハッピーであるはずがないです。
・僕と1年ぐらい兄弟みたいに過ごしてもらえたら、伝わりますよ。起きることを全部、面白がる空気感で生きています。
佐渡島庸平
・だけど会社を辞めて独立すると、肩書きとか仕事の能力より「お前という人間の努力を認めるから」という理由で、助けてくれる人が現れます
・「実はやりたくなかったんだけど、誰々が決めたことだから」という生き方はイヤでした。
・僕は環境に負けないくらい才能が豊かな人間ではないと認識しています。僕のやっているビジネスは出版界の旧勢力に対し、挑戦的でも大胆でもなく、自分は才能がないから環境をどうにかしないと自分がダメになるという気持ちで、試行錯誤をしているだけなんです
・たしかな売り場を持てれば、逆にパンメーカーに「金の食パンをうちのブランド名で作ってほしい」と依頼できるわけです。
・そもそも音楽アーティストと違って漫画家や作家はファンクラブを持っていない。自分の顧客リストを持っていないのである。
増田セバスチャン
・僕がファッションの世界で生き残れたのは、6%DOKIDOKIが発信型のブランドだったからという分析もありますが、少し違います。
続けたことです。
田村淳
・物議は醸していいんですよ。何となく決められた変なルールに、みんなが乗っかってるなんて、気持ち悪いです。
HIKAKIN
・あえて「毎日夜7時に更新します」と言っちゃうのは、イノベーティブだったかもしれない。多くのユーチューバーは、更新時間までは言いません。決めた時間でやり続ける自信がないんでしょう。でも、どうせ同じぐらいの時間にアップするなら、決めてアナウンスしちゃった方が、絶対アピールになります。この時間になれば見られる、という関係性をユーザーとの間に作ることで、親密さもぐっと増します。
・決めたことを愚直にやり続ける。これは信頼を高めることと、その他大勢から突破するための必要条件だと思います。
小橋賢児
・周りに騒がれないよう、個室の居酒屋とか、高級和食屋さんとか、業界の方ばかりと集まるようになりました。そうなるとリアルなインプットが、減っていく。
岡田斗司夫
・1992年、別の友人に社長を全権渡して、僕は無職になりました。
そこから3年ほど、本当に何もしなかったんですね。まったく仕事していません。
・僕は「ミュージシャンはCD販売ビジネスではお金が取れない。音源はタダでばらまいて、コンサートに来る人からお金を取るべき」と唱えています。
・コンテンツを売ってお金をもらおうっていう根性が、もうダメです。それは通用しない時代になりつつあります。本を出して売れて良かったって言うような人たちは、沈みつつあるタイタニックの救助船に乗っているだけですよ。早く新しい島を見つけないと、いずれ沈みます。
おわりに(堀江貴文)
・それでも成功者と呼ばれたり、一線で活躍し続けているのは、なぜか。
《仕事を作る人》だからだ。
誰かに寄りかかったり、人にねだって仕事をしていない。他人からの評価も、社会的な地位もあまり興味がないと思われる。興味があるのは、やりたいことの実現だけ。
・ただイノベーターの彼らは、何が楽しいのか、やりたいことは何なのかが、明確だった。だから努力もできたし、お金がなくても人と違うと言われても、平気だった。
だいいち苦労を、苦労だとも思っていない。
「仕事を作る」こと、そのものが楽しくてしょうがないのだ。
「成功者」と言っていいのかどうかはわかりませんが(本人たちが成功者と思っているのかが微妙なので)、これまでの社会のあり方は誰かがなんとなく「こうあるべきだ」と思ってやっていたことに過ぎず、自分でどんどん常識と思われていたことにとらわれず、動いていけばいいのかなと思いました。
1冊で8名+堀江貴文氏の解説まで読めるので、なかなかお得な本ではないでしょうか。
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