山口周『世界でも最もイノベーティブな組織の作り方』感想
この本を含めて、山口周氏の本を読んだのはこれで5冊目になります。
これまでに、以下の4冊の本を読んできました。
うまく、言葉で表すことはできませんが、それぞれの本のテーマは少しずつ違うものの、やはりそこには共通する軸があったように思います。
さて、今回読ませていただいた『世界でも最もイノベーティブな組織の作り方』は、外資系コンサルとして働いてきた著者がイノベーティブな会社や組織を調査する中で学んだ、イノベーティブな組織の特徴と日本の企業を対比するかたちで描かれています。
まず、著者の大前提は日本企業はイノベーティブではない、というとことです。
著者は、日本人個々人はイノベーティブであり、創造性が豊かであるにもかかわらず、日本の企業がイノベーションを起こせない理由は、「組織の創造性」に問題があり、日本企業がイノベーションを起こせないボトルネックは「組織」であると考えています。
そして、なぜ日本の組織がイノベーティブではないのかを、世界のイノベーティブな組織、例えば、3MやGoogleなどと比較しつつ解説してくれています。
そして、あとがきにも書かれてはいるのですが、結局のところ、日本の企業がイノベーションを起こせるようにするには、組織のあり方、リーダーのあり方を考え直さなければいけない、ということになっています。
それでは、本書で気になる部分はそれはそれは、たくさんあったのですが、全ては紹介できませんので、ごく一部だけ紹介させていただきます。
残りは、是非本書を購入してお読みください。
絶対に損はしない本ですので。
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・言葉の使い方は様々ですが、ひっくるめて言えば、彼らが指摘しているのは「これまでに誰も考えたことがない新しい要素の組み合わせがイノベーションの源泉だ」ということです。そして、この「新しい要素の組み合わせ」を実現するために、多様性が非常に重要な要件になってくる、ということです。
・一方、クーンの言葉によれば、組織内において革新的なアイデアを生み出す人は「若い人」か「その組織に加わって日が浅い人」——組織内において「資源投入の意思決定権限を持たない人」であることが多い。
・実際にヘイグループのこれまでの研究や観察からは、イノベーティブとされる企業であればあるほど、上下間での情報流通が活発に行われているという結果が出ています。
・確かに日本では、社会や経済が停滞状況に陥ると「リーダー待望論」が噴出するばかりで「自分は何をできるか」という論調にはなかなかなりません。要するに「なんとかしてくれ」と騒いでいるわけで、これはホフステードが指摘するところの「権力弱者が支配者に依存する傾向」の証左と考えられます。
・われわれ日本人は、「権威」と「リーダーシップ」を一体のものとして認識してしまうという奇妙な性癖を持っています。しかし、リーダーシップは本来、権威によって生まれるものではありません。
・今日、自分の判断で動き出せない人は、明日、権力を手に入れたとしてもやはり動き出さないでしょう。
・つまり、人が創造性を発揮してリスクを冒すためには「アメ」も「ムチ」も有効ではなく、そのような挑戦が許される風土が必要だということ。さらにそのような風土の中で、人があえてリスクを冒すのは「アメ」が欲しいからではなく、「ムチ」が怖いからでもなく、ただ単に「自分がそうしたいから」ということです。
・ひとつは、課題優先型の仕事ばかりやらせて、その中で活躍している人を長い時間かけて選り抜いていく、という現在の日本企業で主流となっている人材選抜のシステムでは、大きなイノベーションを実現できる人間を、知らず知らずのうちに淘汰してしまう可能性があるということです。
・平たく言えば、イノベーティブな組織では、通常業務で情報交換をする相手以外の異なる部門や社外との間でも活発な情報交換が行われているのです。
・つまり本当の意味で「頑張る」「創意工夫をこらす」ということは目の前の業務に粉骨砕身することではなく、むしろ戦略的に「遊び」を取りこむことでイノベーションの芽を育てることであるはずです。
・経営においては「合理的な解は、そもそも合理的な解になり得ない」というパラドックスを持っているということをよく再確認しておいたほうがいいでしょう。
・合理的というのは論理的に正しいということですが、論理的に正しいことを追い求めれば解は必ず他者と同じになり、しかもスピードは遅くなります。ところが戦略というのは本質的に差別化とスピードを求めますから、ここには二重のパラドックスが発生することになります。
などなど。
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さて、冒頭でも書きましたが、この本で山口周さんの著作を5冊ほど読んだことになります。
最近、仕事柄ビジネス系の啓発書を読むことが多くなりました。
そのような本を読むべきなのか、結構、悩むのですが、正直、山口さんの本を中心的に読んでいれば、それなりのビジネススキルを身につけることはできるのかな、と思いました。
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