スペンサー ジョンソン『チーズはどこへ消えた?』感想
ネットでkindleのページを開いたら、この本が紹介されており、kindle unlimitedで読めると言うことだったので、読んでみました。
この表紙は、多くの方が見覚えがあるのではないでしょうか。
日本では2000年に出版されて、本屋でよく目にした表紙です。
当時、私は新入社員だったのですが、若気の至りとでも言いましょうか、自分には啓発本なんて必要ない、などと考えて、手にすることなどはありませんでした。
しかし、今の私のようになんとなく変化を求めている人に対しては、やっぱりそうだよね、読んで良かった、と思える内容でした。
物語は非常にシンプルです。
大きな迷路の中に本能的に動くネズミとちょいと頭の良い小人が住んでいます。
彼は、毎日のように迷路の中に出かけて行き、美味しいチーズを探すのです。
本能的に、行き当たりバッタリで動くネズミと、考えながら、どうしたら効率的にチーズを探し当てることができるのかを考える小人。
結局、ネズミを小人も最初のチーズを見つけることに成功します。
しかし、この本が問いかけるのはここからです。
ネズミも小人も毎日のようにチーズを食べて、満足いく優雅な日々を送り、小人にいたってはチーズのそばに移り住み、いつでも、チーズが食べられる居心地の良い生活環境を築き上げます。
しかし、ある日チーズはなくなってしまいます。
ネズミは本能的に、ここにチーズがなくなれば、他にいくしかないと考えて、チーズがなくなった瞬間から再度、迷路の中を走り回り、次のチーズを探しはじめます。
しかし、小人たちは、
「なんで、チーズがなくなるんだ。こんなことはあり得ない」
と現実を直視することができず、チーズがなくなった理由ばかり考えて、居心地の良い慣れ親しんだ生活環境からは動こうとしません。
ネズミは、試行錯誤をくりかえし、なんとか次のチーズを見つけます。
小人の一人は、考え抜いて、ネズミに遅れをとりながら、「こんな場所にいても仕方がない」という結論にたどり着き、チーズを探しに出かけます。
小人のもう一人は、最後まで居心地の良い生活環境(すでに居心地は悪くなっているはずなのですが)から動けずにいます。
本書の中で、「チーズ」は会社だったり、お給料だったり、家族だったり、自分が普段当たり前にあると考えているものを象徴しています。
「チーズがなくなる」とは会社の倒産だったり、減額だったり、解雇だったり、家族の死だったりするわけです。
つまり、本書には、「今、当たり前」と思っていることは、思い込みであって、実は当たり前ではないので、変化に備えて、変化が生じた時にはいつでも動けるように準備をしておけよ、というメッセージが込められています。
そして、自分が変わることを恐れずに、立ち向かえ、ということを伝えています。
ようやく、外に出ようと思いたった小人のセリフは印象的です。
「もしも、恐怖がなければ、僕は何をするのだろうか?」
そして、自分が思い浮かべる恐怖というものは、現実の世界のものよりもむちゃくちゃ怖いものなんだ、と教えてくれます。
この本を読んで、感じたことは、これまでに紹介してきた「人生どん底」に関連した本に通じるものがあったということです。
例えば、先日紹介させていただいた、谷口愛さんの本です。
彼女は、こんなことを言っていました。
「追い込まれたら、自分で次なる道を作って進んでいくしかないのです。立ち止まって文句や愚痴を言っていたところで何も始まらない。ほかの選択肢がないときには、とにかく動く、動く、動く。」
「動いていれば、出会いがあり、発見があり、思いがけないチャンスを拾うこともある」。
まさしく、ネズミが真っ先に取った行動と同じです。
また、小人の「もしも、恐怖がなければ、僕は何をするのだろうか?」という問いは昨日紹介させていただいた、『前科者経営者』の高山敦さんの言葉に通じるものがあります。
やりもしないうちから「どうせダメだ」って、
自分で勝手に決めちゃいけないのです。
「OK」と言うか、言わないかは、
相手が決めることであって、自分自身が判断することではないのです。
やってみないとわからないのです。
つまり、自分で勝手に「ダメかも。断れるかも」と恐怖心を煽って、動けない状態にしてしまっているけど、本当の結論は動いてみないとわからないのです。なぜなら、決めるのは「あなた」ではないのですから。
うじうじしてなかなか動き出せない方には、絶対にオススメの本です。
社会人の方だけではなく、人生や恋愛に悩む高校生や大学生のような方々にも是非、読んでいただけたらと思います。
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