嫌な上司と上手につきあい、自分の評価を高める方法
無能とまではいかないのですが、そこそこ仕事のできない上司が私の職場にいます。
ほとんどの場合、私はその上司にキレてしまうのですが、キレずにうまく仕事をする方法はないものか、と考え、『部下こそ上司にリーダーシップをとれ』(松本利明著)を読んでみました。
前半には無能な上司といかにつきあい自分のキャリアアップにつなげるか、ということが書かれています。
後半はコンサルタント業などで頻繁に使われる組織を高めるための手法が紹介されています。ただ、じっくり読まないと少々難しいかも、という印象でした。
それでは、本書の中から気になった部分の抜粋です。
・南カリフォルニア大学教授の教育学者ローレンス・J・ピーターは、実に上司の8割以上は無能であると調査結果を出しています。
・では無能な上司の下から這い出るにはどうすればいいか。実は一つだけ方法があることを発見しました。それは、部下がリーダーシップを発揮し、まわりを動かして状況を好転させるということです。
・(下からのリーダーシップとは)自分自身で仕事力を鍛える。そして、上司やチームのメンバーを持ち上げていくことができる強いリーダーシップを身につけることです。
・下からのリーダーシップを発揮する上で重要なのが、あなたの手柄を上司やチームのメンバーにあげてしまうことです。
・あなたの下からのリーダーシップをより早く確かに進めるのであれば、上司の上司に近づいて、「さりげなく」部署ごと持ち上げるアピールを行うことが効果的です。
しかし、上司の上司に近づくことは上司を飛び越えたアプローチになるので、上司の顔をつぶさずにやる必要があります。
コツは、仕事の話では近づかないことです。
・(無能な上司とつきあうためのポイント)
1)過度の期待はしないが、見下しもせず冷静に判断すること
2)関係者を喜ばして仲間に引き入れ、全体を持ち上げて成果を出すこと
3)こいつは頼もしいやつだ、と思わせること。
・仕事の意味や意義を見つけて、仕事にやりがいを取り戻したら、周りに影響を与えることが可能になります。のめり込んでイキイキと働く姿を見せ、仕事の意義を伝えると、上司のような権限がなくともまわりを動かすことができるようになるのです。
・(実のある会議に導くには)司会者はキーマンは自分流の会議のやり方を通したがるので、そこに割って入るのではなく、質問を活用して、話の流れを本来の方向に戻したり、本質に気づかせ、相手自身の言葉で語らせることで、あなたの導きたい方法で着地させるように使うのです。
・今の会社でOJTしてもらえることは、世の中だとどの程度使えるものなのかを肌で感じておかないと、40代を迎えた時に取り返しがつかないことになるのです。(だから、社外の人と交流し味方につける必要があります)。
・(他人を巻き込む手法としては)
1)相手を説得するのではなく、相談という形で持ちかける
2)致命的にならない付け入るスキを用意する
3)弱みを見せて可愛がられる
4)相手の主観に合わせたストーリーで話す
・下からのリーダーシップでは「どうすればできるか?その結果どうなるのか?」と未来像と前向きな打ち手を発信することで、「こいつと組んだら楽しそう、出来そう、役に立ちそう」と思わせるようにしてください。
・下からのリーダーシップは、「一人前になる段階」と「影響力を発揮する段階」の2段階の構造になります。「一人前になる段階」は、意外かもしれませんが、上司から与えられた仕事をきっちりこなし、一人前以上の実力をつけることがキーになります。
・下からのリーダーシップの第二段階である「影響力を発揮する段階」では、「くわだて(企て)」を仕掛けていきます。
・相手に価値を感じ、必ず喜んでもらうための3つのポイント
1)早い
2)前向き
3)メイクセンス
・リチーミングは、12のステップで構成されており、チームを成長させて「業績アップ」と「チームワーク向上」を同時に達成させるための技術です。
・リチーミングの12ステップ
1)理想像を描く
2)ゴールを決める(理想像に近づくために具体的なゴールを設定)
3)サポーターを得る
4)ゴール達成のメリットを探る
5)すでにできていることを見つける
(ゴール達成のためにすでに努力していること)
6)今後どんな成長が見られるかを想像する
7)想定される困難な部分を見つけ事前に心の準備をする
8)自信をつける
9)第一歩としてやることを周囲に公言する
10)成長の記録をつける
11)想定される失敗の準備をする
12)成功を祝いサポーターに感謝する
・しかし、勝てる方程式を知っていても、名人にはなかなか勝たせてもらえません。
そこで論点を変えて「自分が勝てるルール」を作ってしまうのです。
・16社の事業再生プロジェクトを手がけてきた私の経験でも、そのすべてが過去の成功戦略を忘れられず、マーケットが「NO」と言っているのに、浪花節的な根性論で何とかしようとしても何ともならないという状況に堕ちいっていました。
・発想本は自分で使いこなせそうな方法論を知るためのものと割り切って、「ちゃんと見る」「よく考える」スキルを身につけることに集中することをお勧めします。
・(相手の本心を見極めるテクニックとして)
1)判断基準(何を基準にYes/Noを決めるのか)
2)優先順位(何を基準に物事の優先順位を決めているか)
3)喜ぶ、怒るポイント(何をする/されると喜ぶ、怒るのか)
・上司の4つのタイプ
1)権力大好きタイプ:このタイプは成り上がって自分が天下を取りたいと思っていて、自分の出世に影響することを重視します。
・このタイプは「私はあなたの味方です」ということをPRすればOKです。
2)猪突猛進タイプ:このタイプは職人的に自分の道に向かって脇目をふらずに突き進むタイプです。
・このタイプは、言いたいことをわかりやすい表現に変えて、まわりの人に伝えてあげるなど苦手なコミュニケーションを補ってあげれば喜びます。
3)堅物サラリーマンタイプ:出世にもチームにも興味なく、規則正しく淡々と仕事をするタイプ。
・このタイプは、その人が「何を大事にしているか」を押さえれば、その大事にしていることを中心に規則正しく動くので、そのポイントさえ押さえておけば十分です。
4)評論家タイプ:このタイプは自分の出世にはあまり興味がないのですが、まわりの「人」「人事」に影響するような話が大好きなタイプです。
・このタイプは相談するようにして聞くと、裏情報まで教えてくれます。逆に自分の見られ方によっては、まわりに吹聴してくれるため、アピールしたいキャラをうまく見せると、それを勝手に広めてくれるので便利です。
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抜粋した以外にも困った上司の攻略方法や、自分を磨くためのノウハウ、考え方が記述されています。
どちらかというと(といっても、ほぼこの類のすべての啓発本、仕事術本に当てはまるのですが)、若い人向け、20代から30代の方々に向けられたメッセージだったかと思います。
しかし、どの年齢で読んでも勉強にはなるかと思いますので、仕事で行き詰まっている方、困った上司、無能な上司の下で働いている方々は一度読んでみてはいかがでしょうか?
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