「一人っ子ですか?」って訊くのやめませんか?
公園などでお子さんと遊んでいると、初めて出会ったお子さんと意気投合して子どもが遊びはじめること、よくありますよね。
そんなとき、子どもの言動を見て何気なく「お宅の娘さん一人っ子ですか?」と尋ねてしまうことありませんか?
しかし、この何気ない発言が気づかないうちに人を傷つけてしまうことがあります。
私の職場は、親子連れがよく遊びに来る公共施設ですが、先日、遊びに来てくれていたお母さんが「『お子さん一人っ子ですよね?』って職員の方に言われて、なんで、そこまで言われなくちゃいけないんですか!?」と涙を流しながら事務所に相談に来られました。
なぜ「一人っ子ですか?」という質問が人を傷つけてしまうことになるのでしょうか?
この記事では、「一人っ子ですか?」という発言を避けた方がいい理由を紹介いたします。
この理由がわかれば、意図せず他のお母さんや保護者の方を傷つけてしまうことがなくなり、より良い社会関係を構築することができるでしょう。
ぜひ、最後まで読んでみてください。
「一人っ子ですか?」は「お宅のお子様わがままですね!」と解釈される。
「一人っ子ですか?」という質問をされた方には、「お宅のお子様わがままですね」「お宅のお子様行儀が悪いですね」「お宅のお子様、礼儀を知りませんね」と解釈されることがあります。
一般的に一人っ子は兄弟/姉妹に気を使う必要がないので、がまんするのが苦手、独占欲が強い、周りに流されない、マイペースという特徴があると言われています。
それらを総合して、一人っ子に対して「わがまま」という印象を持っている人も方も多いようです。
先日、職場に涙を流しながら「『一人っ子ですよね?』と言われたんですけど……」というお母さんから相談に対して、その後、職員に事情を聞いてみました。
すると、その職員はこのように言いました。
「あの、子どもは、もう本当にお行儀が悪くて。他の子どもたちには配っていない飾り付けを断りもせずに勝手に持っていこうとするし、あいさつはできないし。自分ができなくなったら、すぐにお母さんに『これやって』」っていうから、私、聞いてみたんです。『お宅のお子さんは一人っ子ですか?』って。そうしたら案の定、一人っ子だったんですよ。もう思った通りで(笑)」。
このように、明らかに「あなたのお子さん行儀が悪いですよ。わがままですよ。社会のルールが守れていませんよ」という意味を込めて「一人っ子ですよね?」と聞いている場合もあるのです。
「お宅のお子さん一人っ子ですよね?」は「お宅のお子さん、わがままですよね」と同義にとられることもあるので、気をつけてください。
「一人っ子ですか?」は「ちゃんとしつけをしてください」と解釈されることもある
同じような理由で「一人っ子ですか?」という質問は、「ちゃんとお子さんを躾けてください」という意味にとらえる方もいます。
しかし「お子さんをちゃんとしつけてください」という意味で解釈された場合、特に自信を持って子育てをできていないお母さんは傷つく可能性が高いです。
子どものしつけについては、親御さんもうまくしつけができなくて悩んでいる可能性があります。
もしかしたら、ひとり親家庭で子どものしつけや教育になかなか手が行き届かず、お母さん自信が疲れているかもしれません。
もしかしたら、子育てを任せっぱなしにされて、常にワンオペ状態になって疲れているかもしれません。
子どもをわがままに育てたい、と考える親はそうそういないと思います。
「一人っ子ですか?」を「しつけをちゃんとしてください」と解釈されてしまったら、「私だってどうしたらいいのかわからないのに」「私だって疲れているのに」「誰も助けてくれないのに」、「こんなに苦しいのに、何で初めて会ったあなたに、見ず知らずのあなたに、そんなことまで言われないといけないの?」と感じてしまうお母さんもいることでしょう。
一人っ子にはしたくなかったけど、結果として一人っ子になってしまった
最後に、一番重要なことです。
一人っ子の親御さんの中には「一人っ子にはしたくなかったけれど、結果として一人っ子になってしまった」というケースもあるでしょう。
たとえば、以下のようなことが考えられます。
- そもそも子どもができにくい体である。
- 子どもを一人産んだ時点で、二人目をあきらめなければいけない状態になってしまった。
- 二人目を妊娠したものの、流産してしまった、死産してしまった。
あなたは親友が二人目のお子さんを流産してしまった、死産してしまったと知りながら、「お宅のお子さんは一人っ子ですからね」と言えますか?
聞けないですし、普通、言いませんよね。
二人目のお子さんを産めない状況にある方に、「お宅のお子さん一人っ子ですか(わがままですよね)?」という質問を投げかけたら、どのように思われるでしょうか?
色々と考えられますが、「あの子が産まれてきていれば、一人っ子にはならなかったのに」「私の体がしっかりしていれば、一人っ子にはならなかったのに」と考えて、深く傷ついてしまうことでしょう。
まとめ
今回は、保護者に「お宅のお子さんは一人っ子ですよね?」という質問を避けた方がいいのか、理由を解説しました。
子育てを経験したことがある方であれば、わかると思いますが、頑張って子育てをしているにも関わらず肩身が狭い思いをすることがあります。
子どもを連れて買い物に出掛けてら、子どもが興奮して騒ぎ出してしまった、走り回ってしまった。
子どもを連れてバスに乗ろうとしたら、子どもが「私がーブザーを押したかった!」「私がお金を入れたかった!」などと駄々をこねたり。
子育てをしている保護者は毎日、大変な思いをしています。
そこにあえて、追い討ちをかけるような声かけ、たとえば「お宅のお子さん、一人っ子ですよね?」は必要ありません。
困っているお母さんがいたら、笑顔で見守る、そっと手を差し出してあげる、そういう行為が子育てに優しい地域社会を育んでいきます。
お子様連れのお母さんは、地域のみんなで見守りたいものですね。
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