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塩見直紀『半農半Xという生き方』感想

2021-08-01

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塩見直紀『半農半Xという生き方』感想

2021-08-01

京都府綾部市で農業に携わりながら、自分が得意とすることをしながら生きるという「半農半X」という生き方を提案する塩見直紀氏。

母親を42歳で亡くしてからは、自分の寿命も42歳までと考え、42歳までに自分の夢を成し遂げなければならないと考え、当時勤めていた通販カタログ会社フェリシモを33歳で退職し、自分の故郷である京都府綾部市に戻ります。

そこで市の嘱託職員、NPO職員として働きながら彼が考える3つのもったいない(天与の才の「未発揮」、地域資源の「未活用」、多様な人材の「未交流・未コラボレーション」)を人々や地域から引き出す活動を始めます。

そのような活動を通じて、彼は色々なアイディアを打ち出したり、アイディアに共感して実行に移していきます。

「半農半X」もそのひとつですが、他にも、一人ひとりが研究テーマというライフワークをもち、終生、それに挑みながら、研究の成果を独占せず、世界に活かす「一人一研究所国家」や「Share シェア」、「ダウンシフティング」という考え方である。

「一瞬一瞬を、「今・ここ・この身」を生きたらいい。でも、私たちは明日も明後日もあると錯覚してしまう。人生には締め切りが要る。そんなことを考えるようになった。いつまでも生きられると思う生き方を、変えなければいけないと」
と塩見氏は語ります。

2003年に単行本の初版が出版されている本ではあるものの、20年近く経った今でも新鮮なアイディアが詰まっており、刺激を受けることができる本です。

自分のやりたいことがわからない人、会社で働く人生に疑問を持っている人、自分の人生このままでいいのだろうかと悩んでいる人、新しい生活をはじめてみたいものの新しい一歩を踏み出せない人にはぜひとも読んでもらいたい本だと思います。

さて、私も塩見氏本人にお会いしたことがあるのですが、とてつもなく謙虚な方でした。そして、その謙虚な姿勢がどこからくるものなのか、『半農半Xという生き方 決定版』(ちくま文庫)の解説にて山崎亮氏が非常にうまく言い表している。

「こうした広いコミュニティにおける多様なつながりのなかで塩見氏は生きており、活かされていると自覚しているはずだ。だから謙虚なのであり、腰が低いのであり、人がいいのである。自分が何者で、つながりの中でどんな役割を果たすべきなのかがよくわかっているのである。」

コミュニティを変えていく、世界を変えていくという人はやはり、こういう姿勢であるべきなのだろう、ということを学ばせていただきました。

以下、本書からの抜粋です。

・新しい時代を象徴する言葉をひとつ挙げるとしたら、私は迷わず「シェア(share)」という英語を選ぶ。

・ダウンシフティングとは下方移動の意味だが、自発的に仕事の量を減らし、自分の自由な時間を増やすという考え方である。

・先進国がいわゆる第三世界の分まで使うと「南北問題」が生じ、現世代が搾取し続けると「将来世代」との間に「世代間不公平」が起こる。「無限」と言われた時代は終わりを告げ、後世を配慮しない「分」を過ぎた行動はたいへんな負の遺産を未来に課すことになる。

・日本は食料自給率が極端に低いが、夢の自給率も低いのではないか。その夢の自給率を上げると、日本はもっといい国になるのではないだろうか。

・2004年にノーベル平和賞のW・マータイさんによって、日本語の「もったいない」に光があたったが、私はこの国には、あと三つのもったいないがあると考える。それは ① 天与の才(個性、特技、大好きなことなど)の「未発揮」、② 地域資源(竹などの自然素材、伝統食文化など)の「未活用」、③ 多様な人材の「未交流・未コラボレーション」だ。

・みんな必ず自分のXをもっている。真の自分のカラダと出会い、そして、埋もれている素材や多様な人が出会うことで、新しい何か(問題解決法や新しい文化など)が生まれると私は信じている。<中略>
あとは勇気を出して、スモールアクションを重ねていくこと。気づきを独占せず、発信を重ねていくこと、シェアしていくこと。きっと道はシンプルだと思う。

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