子どもの感受性を育てるために親ができる5つのこと

人に優しく、思いやりがあり、気配りのできる子どもに育ってほしいと願う親御さんは多いことでしょう。

感受性が豊かな子どもは、人に優しく、思いやりがあり、気配りのできる子どもと言われたりします。

でも、具体的にどうしたら感受性豊かな子どもに育ってくれるのでしょうか?

幸い、私の5歳の娘は保育園の先生に「感受性が豊かですね〜」と喜ばれています。

子どもの感受性を意識したことはあまりなかったのですが、30年以上保育士として勤めている方との会話の中で、私がやっていたことが、どうやら子どもの感受性を育てることにつながっていたことがわかりました。

この記事では、私自身の経験をもとに、子どもの感受性を育てるために親ができることを5つ紹介いたします。

子育ての参考にしていただけたら幸いです。

30年以上保育士として勤めた方からのご指摘なので参考になると思います。

感受性ってそもそもなーに?

感受性とは「外界の刺激や印象を感じることができる働き」と言われたりします。

感受性が豊かであれば、人の気持ちを察して思いやりのある行動がとれます。

空気を読むことができる、他人の置かれている状況や気持ちを理解できると考えても良いでしょう。

タイム誌によると感受性が豊かな人には高い創造力と、判断力があり、見たこと、聞いたこと、感じたことを大きな力に変える能力があるそうです。

たとえば、感受性が豊かな人には映画を見て大泣きする人が多いのですが、同時に大きなやる気や動機を映画から得ることもできるようです。

同じように感受性が豊かな人は、セミナーや学校の授業などでも聞いたこと、感じたことに対して、人一倍、面白い、やってみようという気持ちが高まり、高い成果を生み出すそうです。

感受性が豊かな子どもに育てるということは、人の気持ちを理解できる子どもに育てるということ以上に、学習する素地を築いてあげることと考えても良いかもしれません。

子どもの感受性を育てるために親ができる5つのこと

感受性の高い子どもを育てるために、お金を払ったり、生活をガラリと一変させる必要はありません。
日常生活のちょっとした工夫、ちょっとした声かけ、親がちょっと意識を変えるだけで感受性は育まれます。
それでは、以下、筆者自身が日常的にやっていることを5つ紹介します。

お天気にかかわらず(晴れても、雨でも、雪でも)子どもと散歩する

あらゆる自然現象を子どもに感じさせることは、感受性を育むために最適です。
冬に雨が降ると寒い、冬の雨は冷たい、お日様の光は暖かい、寒い朝には草木に霜がつく、霜がついた葉っぱをちぎっても霜はすぐに溶けちゃう、雪は冷たい、など色々なことを子どもは自然現象から学びとります。
晴れた日のお散歩だけだと晴れた日の状態しかわかりません。
でも、いつもと違った日、雨の日や雪の日の方が子どもははしゃぎます。
それは子どもの脳がいつもと違う景色、いつもと違う感覚、匂いなどに刺激を受けているからです。
アメリカの生物学者で『沈黙の春』の著者であるレイチェル・カーソンは著作『センス・オブ・ワンダー(Sence of Wonder)』の中で、子どもにあらゆる表情の自然を体験させる重要さを語っています。

私は、晴れの日も雨の日も雪の日もどんな時も子どもを自転車に乗せて保育園まで送り届けています。
(お迎えは妻が車でしています)。
通園路のそばには田んぼや用水路があるので、毎朝「サギがいるよ」「カモがいるよ」などと子どもと会話をしながら通園しています。
子どもも、道端に咲く花を見つけては「これきれい。これなーに?」などとたくさん質問をしてきます。
カエル、カメ、ウ、ヘビ、タカ、コイなどあらゆる生きものを通園中に見ています。
花の名前も結構覚えてくれました。
動植物の状態を見て、子どもは物語を作ったりもします。
元々は、我が家に車が一台しかなく、妻が通勤するために使うから、という理由ではじめた自転車通園でしたが、豊かな自然環境が通園路にあるということに気がついてからは、せっかくだから自然について学んで欲しいと考えて、毎日自転車で通園するようになりました。
そのおかげで、職場にはしょっちゅう遅刻をしていますが……。
保育園の先生からはこれが子どもの感受性を育てている大きな要因だと言っていただいてます。

絵本の読み聞かせをする

絵本は子どもの感受性を育むための絶好のツールです。
子どもは物語の主人公に感情移入します。
子どもは、今、主人公はこんな気持ちなんだろうな、と感じながら絵本のお話を聞いていることでしょう。
時々は、主人公だけでなく脇役のキャラクターに対しても「この子だけ、お菓子持っていなくてかわいそう!」みたいなことを言ったりしませんか?
これは、キャラクターの気持ちを状況から判断して想像しているわけです。
現実の世界で人の気持ちを察することと同じ状況が起こっているわけです。
このように絵本の読み聞かせをすることで子どもの感受性は明らかに豊かになります。

私の場合、子どもが生まれた時から寝かしつけるときには必ず絵本を読むようにしています。
2歳ごろには寝る前に必ず自分で絵本を2、3冊選んで「これ読んで」と持ってくるようになりました。
5歳になった今でも、その行動は続いています。
もともとは感受性が豊かな子どもを育てたいという気持ちはなく、どちらかというとしっかりとした言語能力を育てたいという気持ちからの読み聞かせでした。
結果として感受性を育むことにつながっているのは嬉しいことです。

子どもの反応に笑顔で答える

子どもはあらゆるものに対してさまざまな反応を示します。
公園に落ちている石ころを見て「宝石みたい!」と言ってみたり、空に浮かんでいる雲を見て「アイスクリームみたい」と言ったりします。
このような子どもの反応に対しては、笑顔で前向きに答えてあげましょう。
子どもが「この石、宝石みたい」と言ったのであれば「本当だね。白い宝石みたいだね。あそこにもあるよ。あっちには違う色の宝石があるよ」などです。
親が子どもの反応に喜んで答えると、子どもは自分があらゆるものを見て、反応して、感想や気持ちを伝えることが楽しくなります。
そのような親との会話の中で、自分の気持ちを表現する方法、相手の気持ちを察する方法を子どもは学んでいきます。
子どもが何かに反応をしたら、笑顔で楽しそうに前向きな答えを投げかけてあげましょう。

お手伝いをしてもらう

実は子どもはお手伝いが大好きです。
なぜなら、パパやママがやっていることはなんでもかんでも真似をしたがるからです。
でも「そこで邪魔だからどいて」「危ないから近づかないで」というと、子どもは「お手伝いはしてはいけないもの」と考え、親が作業をしているときには、親に近づかなくなってしまいます。
しかし、これではせっかくの学習チャンスを逃してしまいます。

私の娘は2歳になると卵を上手に割るようになりましたし、ゆで卵の殻も上手に剥くようになりました。
ただ、一度だけで上手に卵を割れるようになったわけではありません。
力の入れ方、台所のどこにぶつけたらいい感じで卵が割れるのか、五感を使って試行錯誤を繰り返してきたのです。
コーヒーを淹れるときに、一度熱いお湯のしずくが娘の手に飛んだことがありました。
それ以来、娘はお湯は熱いものと認識し、自分一人でポットに近づくことはありません。
お料理を一緒にすることが多いので火が熱いということも認識しており、野菜をフライパンに入れるときには「熱いからパパやって」と言います。
お手伝いをさせるということは、五感を使わせるということです。
五感を使うことで、身の回りの世界が何でできているのか、自分の周りには何があるのかを学んでくれます。
そこから感覚的に火とお湯は熱いから近づかない、包丁も一人では持たない、ということも学んでくれるので、危険回避にも繋がります。
危ない、危険ということがどういう感覚なのかも理解してもらうことができます。
ここまで理解してもらえると、初めて見たものでもこれは危なそうだから近づかない、これをお友達に近づけたら危険という感覚も持ってくれるようになります。
保育園の先生や放課後児童クラブの先生から、「尖ったものや切れそうなものを手にすると、振り回す子が多いのよね」という話を聞きます。
そういう子どもはおそらく、「テレビで見た武器に似ている」と思うものの、それらがどれほど危険なものかを知らないので、嬉しくなって遊んでしまうのでしょう。
でも、実際にお手伝いをしてもらって、時々は自分が怪我をしながら、刃物、尖ったものの扱いを体験すれば、刃物や尖ったものが危険だということがわかり、刃物や尖ったものを振り回すことはなくなるでしょう。
ぜひ、積極的にお手伝いをさせてみてください。

徹底的に子どもの興味関心につきあう

子どもは周辺の環境からあらゆることを学びます。
しかし、親の都合で周辺の環境から子どもを切り離してしまうと、子どもの学習機会を奪うことになってしまいます。
たとえば、公園に遊びに行くときに、子どもが寄り道をします。
そこで「早く公園に行かないと遊ぶ時間がなくなっちゃうよ」と無理やり公園まで連れて行くと、せっかく子どもが興味を持ったものから子どもを引き離してしまうことになります。
子どもにとっては、一歩外に出たらそこには面白いものがたくさんある遊び場です。
もちろん、駐車場で走り回るなどの危険な遊びは注意するべきですが、子どもが関心を持ったものについては、たとえ目的地の公園にたどり着けなかったとしても、徹底的につきあうことをお勧めします。
さかなクンのお母さんは、さかなクンが水族館で一日中タコを見ていたことに対して「早く行くわよ」というようなことは言わずに、むしろ「あら、タコもよくみると可愛いのね」などと言っていたそうです。そのおかげで、今のさかなクンがあるのは間違いありません。
子どもの興味関心を削がないように、子どもと遊ぶ時は徹底的に子どもの興味関心につきあうことをお勧めします。

まとめ

今回、感受性が豊かな子どもに育てるために親ができる以下の5つのことを挙げてみました。

  1. お天気にかかわらず(晴れても、雨でも、雪でも)散歩をする
  2. 絵本の読み聞かせをする
  3. 子どもの反応に笑顔で答える
  4. お手伝いをしてもらう
  5. 子どもと遊ぶ時は徹底的につきあう

もちろん、これ以上、できることはあると思いますが、今回は私の娘が「感受性が豊かな子ですね」と言われるようになった要因、筆者の私自身が日常的にやっていることについて紹介してみました。

もしも、感受性が豊かな子どもに育てたいけどどうしたらいいのかわからない、というときには参考にしてみてください。