イチローが高いレベルで野球をするためにこだわったこと

イチローといえば、説明するまでもないほど世界的に有名なプロ野球選手です。

日本のプロ野球とアメリカのメジャーリーグで通算28シーズンをプレーし、メジャーリーグでは数々の記録を樹立した、アメリカでも認められたプロ野球選手です。

イチロー選手が樹立した記録は以下の通りです。

・MLBシーズン最多安打記録(262安打)

・プロ野球における通算安打世界記録(一軍出場試合のみで、日本のプロ野球、メジャーリーグ通算4367安打でギネス世界記録に認定)

・現役選手として最多試合出場世界記録保持者(日本プロ野球 / メジャーリーグ通算3604試合出場)

・メジャーリーグで史上唯一の10年連続200安打以上を達成

・メジャーリーグでアジア人史上唯一の首位打者と盗塁王、シーズンMVP、シルバースラッガー賞、ゴールドグラブ賞(10年連続)を獲得

・アジア人史上3人目の新人王

・メジャーリーグ1年目のシーズンは、MVP,新人王,首位打者,盗塁王,シルバースラッガー賞,ゴールドグラブ賞のタイトル同時獲得

こんなイチロー選手が、この高いレベルに到達するまでこだわり続けてきたことは何だったのでしょうか。

イチロー選手のインタヴュー記事を書いてきたフリースポーツジャーナリストの石田雄太氏の著作『イチロー・インタヴューズ』(文集新書)を読んだところ、どうやらイチローは「自分のために野球をする」ということにこだわっていたようです。

「自分のために野球をする」ということについて、イチローが過去に語ったことを『イチロー・インタヴューズ』からリストアップしてみました。

僕、自分のために野球をやりたくなってきたんです

僕、自分のために野球をやりたくなってきたんです。

だからここから先、僕のファンだと言ってくれる人はもっと大変になると思いますよ(笑)。

特に今年のオフはいくつかの番組で言いたいことを言わせてもらいましたし、ああいう僕を見てそれでもファンだと言ってくれる人は、ちゃんと考えて選択して、残ってくれている人だと思うんです。

だからこそ、そういうファンの人には自分の感性を大事にして、純粋に感じて欲しい。

10年前の野球と今の野球は違いますし、これからも誰かの頑ななものの見方に流されないで欲しいんです。

そういうファンが増えて僕にプレッシャーをかけてくれれば、お互いに成長できる関係でいられると思いますからね。

p136

メシのタネに野球をやっている選手では、絶対にここまでは来られないと思います

だから、人と比較するという価値感は僕の中からはもう消えています。

僕は僕の能力を知っていますから、いくらでも先はあるんですよ。

人の数字を目標にしている時というのは、自分の限界より遥か手前を目指している可能性がありますけど、自分の数字を目指すというのは、常に限界への挑戦ですから。

メジャーで感じる孤独感なんて、最高じゃないですか(笑)。

一つだけ言えるとしたら、メシのタネに野球をやっている選手では、絶対にここまでは来られないと思います。

野球が生活の手段になってしまったら、もっと前に進みたいという気持ちは消えてしまいますからね。

pp150-151

強いチームというのは、個人があってチームがあると思うんです

強いチームというのは、個人があってチームがあると思うんです。

個々が持っている力を発揮して、役割を果たして、それが結果としてチームの力となる。

でも、弱いチームはそうではない。

個人の力が発揮されない、だから勝てない、チームのためにという言葉でごまかして個人の力を発揮できないことへの言い訳を探す、そうしたらもっと勝てなくなる・・・・・・悪循環ですよね。

p203

僕は「野球、好きだから」ってところが原動力になっているんです

何かしらの責任感から練習をやる人とか、野球を仕事だと割り切ってやっている人もいるとは思いますけど、僕は「野球、好きだから」ってところが原動力になっているんです。

p267

トップの人はみんな口を揃えて言いましたよ。『自分のためにやっている』って

このオフ、いろんな人に会いましたけど、トップの人はみんな口を揃えて言いましたよ。

『自分のためにやっている』って。

誰一人としていませんでしたね、まずはチームだって言った人は・・・・・・ゼロ、ゼロです。

みんな、それがいずれはいろんなところにいい影響を及ぼすってことを知っている。

それが僕にはすごく心強かったですね。

pp284-285

ずっとベンチにいても優勝できればいいなんて選手、いるわけがない

なぜかって、彼らはみんなわかっていてそれを表現できないだけですから。

実際、ゲームの中での動きがそうですもんね。

自分のことしか考えてない。

むしろ僕よりも自分のことしか考えない動きをしていますよね。

そんなこと、わかり切ったことなんです。

打てなくても勝てばいいというのは、極端に言えば自分がいなくてもチームが優勝すればいいということでしょう。

ずっとベンチにいても優勝できればいいなんて選手、いるわけがない。

だってそれじゃ、クビ切られますから。それでもいいなんて言えるはずはないですよね

p286

番外編 王貞治は誰のために野球をやっていたのか

イチローが王貞治と対談した時の二人のやりとりも『イチロー・インタヴューズ』に収録されていました。

イチローは王監督に「王監督は誰のために野球をやっているのか?」という質問をします。

王監督は即答して、以下のように答えたようです。

オレは自分のためだよ。

だって、自分のためにやるからこそ、それがチームのためになるんであって、チームのために、なんていうヤツは言い訳するからね。

オレは監督としても、自分のためにやってる人が結果的にはチームのためになると思うね。

自分のたためにやる人がね、一番、自分に厳しいですよ。

何々のためにとか言う人は、うまくいかないときの言い訳が生まれきちゃうものだからな

p294

まとめ

今となっては世界のイチロー、世界の王貞治ですが二人とも自分のために野球をやっていたようです。

そして、イチローが語っているように多くの一流選手も自分のためにプレーしているのです。

おそらく、野球選手に限らず、一般的に仕事をしている人もそうなのかもしれません。

みんな自分のために仕事をしているのです。

そして、自分のために仕事をしているからこそ、高い目標を掲げ、諦めずに自分自身を高めているのです。

以前、「世界の成功者が語る成功するために必要なたった一つのこと」という記事を書きました。

その中で、タモリさんが「ヨルタモリ」で以下の発言をしていました。

「好きでやっててこうなってるだけの話で。好きで、これ面白いな、面白いなでやってて、やってる人がそういうふうになってるんだ。そういう人たちが夢を持ってやってたかっていうとそうじゃないね。」

イチロー選手が自分のために野球をやっているということと何か通じるものがありませんか。

自分の好きなことを見つけて、自分のためにやる、ということが成功するためには大切なことなのかもしれません。